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第28話 ●Growth

コードを書けない人間のコード

アラタ アラタ

ある夜、コードを書いている最中に手が止まった。

正確に言えば、「コードを書いている」のは僕じゃない。僕はプロンプトを書いている。Claude Codeがコードを生成して、僕がそれをレビューして、修正を指示して、テストして、デプロイする。

この一連の作業を、「プログラミング」と呼んでいいのだろうか。


この問いは、半年間ずっと頭の片隅にあった。

最初のうちは気にならなかった。何もわからない初心者が、AIの力を借りて少しずつ前に進んでいる。それだけのことだ。でも、プロダクトが形になり、ユーザーが使い始め、自動化が回り始めると、この問いが大きくなってきた。

🧑‍💼 アラタ

正直に聞きたいんだけど、俺がやってることって、プログラミングなのか?

🤖 クロ

興味深い問いですね。プログラミングの定義をどう捉えるかによります。「コンピュータに命令を与えて問題を解決するプロセス」と定義するなら、あなたがやっていることは間違いなくプログラミングです。

🧑‍💼 アラタ

でも、実際にコードを書いてるのはお前だろ。

🤖 クロ

私がコードを生成しているのは事実です。でも、何を作るか決めているのはあなたです。要件を定義し、設計方針を選び、コードをレビューし、テストを書き、デプロイの判断をしている。それらはすべてプログラミングの本質的な部分です。

AIの回答は、いつだって理路整然としている。でも、この問いに理路整然とした答えが欲しいわけじゃなかった。


ハッチにも同じ質問をした。

🧑‍💼 アラタ

俺のやってること、エンジニアから見てどう思う? プログラミングって呼べるのか。

👨‍💻 ハッチ

うーん。難しい質問だな。

ハッチは珍しく即答しなかった。ビールのグラスを回しながら、しばらく考えていた。

👨‍💻 ハッチ

たとえばさ、建築家はレンガを積まない。でも、建築家が設計しなければ建物は建たない。レンガを積む人に「お前は建築家じゃない」とは言わないけど、建築家に「お前は建物を作ってない」とも言わない。お前がやってるのは、ソフトウェアの建築家に近いんじゃないか。

🧑‍💼 アラタ

建築家、か。でもそれは買い被りすぎだ。俺はまだ設計の基礎もわかってない。

👨‍💻 ハッチ

じゃあ施主だな。家を建てたいって言って、要件出して、図面見て、ここはこうしてくれって指示する人。施主がいなきゃ家は建たない。それは事実だろ。


ログを見返してみた。Claudeのモデル使用統計。

モデル使用統計 L8500 2026-06-23 21:00

総トークン使用量:

  • Claude Opus: 2,847,320 tokens
  • Claude Sonnet: 14,203,891 tokens
  • 合計: 17,051,211 tokens

推定コード生成量:

  • 生成されたコード行数: 約45,000行
  • アラタが直接入力したコード: 約2,000行

45,000行のうち、僕が直接タイプしたのは約2,000行。残りの43,000行はAIが生成した。

この数字を見て、ある人は「それはプログラミングじゃない」と言うだろう。43,000行をAIに書かせて、たった2,000行しか自分で書いていないのだから。

でも、別の見方もできる。

2,000行の中には、プロンプト、設計メモ、設定ファイル、テストケースが含まれている。そしてその2,000行が、43,000行の方向性を決めている。2,000行がなければ、43,000行は生まれなかった。

🧑‍💼 アラタ

俺が書いた2,000行は、指揮者の指揮棒みたいなものかもしれない。指揮棒自体からは音は出ない。でも、指揮棒がなければオーケストラは鳴らない。

👨‍💻 ハッチ

お前、詩人にでもなったのか。

🧑‍💼 アラタ

いや、ただ、自分のやってることに名前をつけたいだけだ。


結局、「これはプログラミングか?」という問いに、僕はまだ答えを持っていない。

でも、一つだけ確かなことがある。

プロダクトは動いている。ブログには毎日アクセスがある。採用ダッシュボードは社内で使われている。SNSは自動で投稿されている。E2Eテストは全件グリーンだ。

プロダクト稼働状況 L8520 2026-06-24 08:00

稼働中プロダクト:

  • 怪獣ログ (ブログ): 稼働中 / 日次PV 200+
  • chronicle (物語ブログ): 稼働中
  • 採用KPIダッシュボード: 社内5名が日常利用
  • SNS自動投稿: 1日5回 / 自動実行中
  • GA4アナリティクス: 日次自動収集中

これらのプロダクトが動いていることは事実だ。ユーザーがいることも事実だ。誰がコードを書いたかという問いは、使う人にとっては関係ない。

たぶん、正しい問いは「これはプログラミングか?」ではない。

「これは価値を生んでいるか?」だ。

その問いなら、答えは明確だ。イエス。プロダクトが、ユーザーの行動が、データが、それを証明している。

名前のつかない営みでも、価値は生まれる。そして価値が生まれているなら、名前はあとからついてくる。

コード · 哲学 · 問い

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