121,805通のメッセージ
第29話 ●Challenge

アラフォーの答え

アラタ アラタ

39歳は遅すぎたのか。

この半年間、何度もこの問いが浮かんだ。SNSで20代のエンジニアが華々しい成果を発表しているのを見るたびに。技術カンファレンスの登壇者が自分より10歳以上年下だと気づくたびに。

「もっと早く始めていれば」という後悔の影が、いつも隣にあった。


でも今、半年が経って、はっきりわかったことがある。

39歳だから遅かったのではない。39歳だからこそできたことがある。

プロジェクト一覧 L8600 2026-06-27 22:00

半年間で関わったプロジェクト:

  • ブログプラットフォーム (STOMPS / 怪獣ログ / chronicle)
  • 採用KPIダッシュボード (HERP連携)
  • SNS自動投稿・分析システム
  • GA4アナリティクス自動収集
  • ポッドキャスト音声自動生成
  • 広告カードジェネレーター

このリストを眺めてみる。ブログ、採用ツール、SNS、アナリティクス、音声、デザイン。ジャンルがバラバラだ。

20代のエンジニアなら、一つの技術領域を深く掘り下げるだろう。Reactのスペシャリスト、バックエンドのエキスパート、インフラのプロフェッショナル。それが正しいキャリアの積み方だ。

でも、僕は違う。9年間の人事経験で培った「組織の課題を発見する力」が、プロジェクトの方向を決めている。技術の深さではなく、課題の広さで勝負している。


採用ダッシュボードがその最たる例だ。

🧑‍💼 アラタ

あのダッシュボード、なんで俺に作れたと思う?

👨‍💻 ハッチ

HERPのAPI叩いてデータ表示するだけだから、技術的には大したことない。

🧑‍💼 アラタ

そうだよ。技術的には大したことない。でも、何のデータを、どう見せれば、採用の意思決定に使えるか。それは俺にしかわからない。

👨‍💻 ハッチ

……まあ、それはそうだな。俺がHERPのAPIドキュメント読んでも、何を可視化すべきかはわからん。

9年間、採用の現場にいた。どの数字を経営層に見せれば予算が通るか知っている。どの指標がボトルネックの早期発見に使えるか知っている。面接官のスケジュール調整がどれだけ採用速度に影響するか知っている。

この知識は、Computer Scienceの学位では得られない。9年間の実務でしか得られない。


SNSの自動投稿システムにも、人事の経験が活きている。

SNS戦略ログ L5600 2026-03-22 21:30

アラタ: 投稿のタイミングを最適化したい。ターゲット層(30-40代のテック関心層)がSNSを見る時間帯は、通勤時間、昼休み、帰宅後。 → 投稿時間: 07:00 (通勤), 08:30 (出社後), 12:00 (昼休み), 19:00 (帰宅後), 21:00 (就寝前)

「ターゲット層のペルソナを設定して、行動パターンに合わせてタッチポイントを設計する」。これはマーケティングの基本だけど、人事の採用マーケティングでも全く同じことをやっている。候補者がどのタイミングで求人を見るか、どんなメッセージに反応するか。僕はそれを9年間考え続けてきた。

ブログのコンテンツ設計も同じだ。

🧑‍💼 アラタ

ブログって、読者の課題を解決するためのコンテンツだよな。

🤖 クロ

その通りです。SEO的にも、読者のペインポイントに応えるコンテンツが評価されます。

🧑‍💼 アラタ

それって、採用JD(ジョブディスクリプション)と同じだ。候補者のペインポイントを理解して、うちのポジションがそれを解決できることを伝える。構造が同じだよ。


39歳の武器を、整理してみた。

1つ目。ドメイン知識。人事9年。採用、評価、組織設計、労務、研修。この知識がそのままプロダクトの要件定義になる。

2つ目。コミュニケーション設計。1on1、面接、プレゼン、交渉。人間に何かを伝える技術は、AIとの対話にも、ブログの文章にも、UIの設計にも活きる。

3つ目。プロジェクトマネジメント。組織変革を何度もリードしてきた。スコープ管理、ステークホルダー調整、優先順位付け。これはソフトウェア開発と完全に同じスキルだ。

4つ目。失敗への耐性。40年生きてきた。大きな失敗もしている。エラーが出ても、デプロイが失敗しても、心が折れない。20代の自分なら折れていたかもしれない。

👨‍💻 ハッチ

お前のアドバンテージってさ、コードが書けることじゃないんだよ。コードを書ける人間はいくらでもいる。でも、「人事の課題を理解していて、かつコードも書ける人間」は、たぶん日本に100人もいない。

🧑‍💼 アラタ

100人もいないか?

👨‍💻 ハッチ

知らんけど、希少なのは間違いない。


39歳で遅すぎるということはなかった。

むしろ、39歳だからこそ見えたものがある。20歳でプログラミングを始めていたら、僕はきっと純粋なエンジニアになっていた。それはそれで良い人生だっただろう。でも、「人事×エンジニアリング」という組み合わせは生まれなかった。

振り返りメモ L8680 2026-06-28 23:45

もし20歳でプログラミングを始めていたら: → CS学んで、エンジニアになって、一つの技術を深く掘り下げていた → 人事の経験はゼロ。ドメイン知識もゼロ。

39歳で始めたから: → 9年分のドメイン知識がベース → AIが技術のギャップを埋めてくれる → 「何を作るべきか」の判断力が段違い

人生のどのタイミングで何を始めるか。それに正解はない。でも、「遅すぎた」という答えは、少なくとも僕の場合は間違っていた。

39歳の答え。それは「遅くない」じゃない。「39歳だからこそ」だ。

アラフォー · 答え · 人生

あわせて読む

シリーズ一覧を見る →