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第17話 Creation

スポーツコーチのための動画サービス

アラタ アラタ

人事の仕事と、スポーツコーチングの共通点は何か。

「人の成長を支援する」ことだ。

この気づきが、僕を思いもよらないプロダクトへと導いた。


きっかけは、学生時代の友人との再会だった。彼はアスレティックトレーナーをしている。スポーツ選手のリハビリを専門にしている。

「リハビリの動画教材を作りたいんだけど、外注すると1本30万円かかるんだよね」

飲み会の何気ない一言。以前の僕なら「大変だね」で終わっていた。でも今の僕は違った。

「作れるかもしれない」と言ってしまった。

🧑‍💼 アラタ
アスリートのひざの屈曲にフォーカスしたようなリハビリ動画を3つほど生成して。トレーナーが患者に見せる教材として使えるクオリティで。
🤖 クロ
リハビリ動画の生成ですね。具体的な要件を確認させてください。動画の長さ、ターゲットとなる怪我の種類、運動の段階(急性期/回復期/復帰期)、ナレーションの有無を教えてください。
🧑‍💼 アラタ
30秒から1分。前十字靭帯再建術後の回復期。段階的な屈曲運動を3フェーズに分けて。ナレーションは後から付けるから、テロップだけでいい。

3ヶ月前なら、この会話は成立していなかった。「リハビリ動画の生成」なんてプロンプトを書けるようになったのは、PMの言語を学んだおかげだ。


actola_pro 開発ログ L5890 2026-03-12 22:15

Project: actola_pro — Sports Coaching Video Platform Stack: Astro + React + Supabase + AI Video Generation Features:

  • リハビリプログラムのテンプレート管理
  • AI動画自動生成(テロップ + アニメーション)
  • トレーナー↔患者の共有ポータル
  • 進捗トラッキング(可動域の数値記録)

1つの動画生成から始まったものが、いつの間にかプラットフォームになっていた。

リハビリの動画だけじゃ足りない。トレーナーが患者ごとにプログラムを組めないと意味がない。患者がスマホで動画を見られないと使えない。進捗を記録できないと、効果が測定できない。

人事時代の研修プラットフォーム選定の経験が蘇った。「動画を見せるだけ」のツールは山ほどある。でも本当に必要なのは、「見せて、やらせて、測定して、改善する」のサイクルだ。PDCAだ。人事もスポーツも同じだ。


🧑‍💼 アラタ
トレーナーがダッシュボードから患者のプログラムを一覧で見られるようにしたい。各患者の進捗率、次回のリハビリ予定、直近の可動域測定値をカードUIで表示。
🤖 クロ
トレーナー向けダッシュボードを設計します。患者カードにはアバター、名前、怪我の種類、プログラム進捗率(プログレスバー)、次回予定日、直近の可動域データ(折れ線のミニチャート)を含めます。

2日で、プロトタイプができた。

トレーナーの友人にZoomで見せた。

「…これ、お前が作ったの?」

ハッチに見せたときと同じ反応だ。もう慣れてきた。


フィードバックメモ L5935 2026-03-13 14:30

トレーナーからのフィードバック: ✓ “UIが直感的で、ITに詳しくないトレーナーでも使えそう” ✓ “進捗のグラフは患者のモチベーションにもなる” △ “動画のクオリティはまだプロ向けには足りない” △ “保険適用のリハビリとの連携がないと、本格導入は難しい” × “患者の医療データを扱うなら、HIPAA的なコンプライアンスが必要では?”

最後の指摘で目が覚めた。

医療データ。セキュリティの穴を経験したばかりの僕にとって、この指摘は重かった。リハビリの記録は医療情報だ。個人情報保護法どころの話じゃない。医療情報ガイドラインに準拠しなければならない。

👨‍💻 ハッチ
アラタ、スポーツテック面白いけど、医療データは沼だぞ。個人情報保護の人事レベルとは桁が違う規制がある。
🧑‍💼 アラタ
わかってる。でも、だからこそ逆にチャンスじゃない? 規制が厳しい分、ちゃんとしたプロダクトが少ない。
👨‍💻 ハッチ
…お前、いつからそんなこと言うようになったんだ。

actola_proは、まだ完成していない。医療データのコンプライアンスは、2ヶ月の独学で解決できる問題じゃない。専門家の助けが必要だ。

でも、このプロジェクトを通じて僕は大事なことを学んだ。

テクノロジーの力は、技術者のためだけにあるんじゃない。トレーナーがいい指導をするために。患者が早く回復するために。僕が作ったダッシュボードの向こう側には、膝が痛い誰かがいる。

人事のときもそうだった。研修プログラムの向こう側には、成長したい誰かがいた。評価制度の向こう側には、正当に評価されたい誰かがいた。

プロダクトを作ることは、人を支援することだ。

その思いが、午前3時までキーボードを叩き続ける原動力になっている。

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