人事の仕事と、スポーツコーチングの共通点は何か。
「人の成長を支援する」ことだ。
この気づきが、僕を思いもよらないプロダクトへと導いた。
きっかけは、学生時代の友人との再会だった。彼はアスレティックトレーナーをしている。スポーツ選手のリハビリを専門にしている。
「リハビリの動画教材を作りたいんだけど、外注すると1本30万円かかるんだよね」
飲み会の何気ない一言。以前の僕なら「大変だね」で終わっていた。でも今の僕は違った。
「作れるかもしれない」と言ってしまった。
3ヶ月前なら、この会話は成立していなかった。「リハビリ動画の生成」なんてプロンプトを書けるようになったのは、PMの言語を学んだおかげだ。
Project: actola_pro — Sports Coaching Video Platform Stack: Astro + React + Supabase + AI Video Generation Features:
- リハビリプログラムのテンプレート管理
- AI動画自動生成(テロップ + アニメーション)
- トレーナー↔患者の共有ポータル
- 進捗トラッキング(可動域の数値記録)
1つの動画生成から始まったものが、いつの間にかプラットフォームになっていた。
リハビリの動画だけじゃ足りない。トレーナーが患者ごとにプログラムを組めないと意味がない。患者がスマホで動画を見られないと使えない。進捗を記録できないと、効果が測定できない。
人事時代の研修プラットフォーム選定の経験が蘇った。「動画を見せるだけ」のツールは山ほどある。でも本当に必要なのは、「見せて、やらせて、測定して、改善する」のサイクルだ。PDCAだ。人事もスポーツも同じだ。
2日で、プロトタイプができた。
トレーナーの友人にZoomで見せた。
「…これ、お前が作ったの?」
ハッチに見せたときと同じ反応だ。もう慣れてきた。
トレーナーからのフィードバック: ✓ “UIが直感的で、ITに詳しくないトレーナーでも使えそう” ✓ “進捗のグラフは患者のモチベーションにもなる” △ “動画のクオリティはまだプロ向けには足りない” △ “保険適用のリハビリとの連携がないと、本格導入は難しい” × “患者の医療データを扱うなら、HIPAA的なコンプライアンスが必要では?”
最後の指摘で目が覚めた。
医療データ。セキュリティの穴を経験したばかりの僕にとって、この指摘は重かった。リハビリの記録は医療情報だ。個人情報保護法どころの話じゃない。医療情報ガイドラインに準拠しなければならない。
actola_proは、まだ完成していない。医療データのコンプライアンスは、2ヶ月の独学で解決できる問題じゃない。専門家の助けが必要だ。
でも、このプロジェクトを通じて僕は大事なことを学んだ。
テクノロジーの力は、技術者のためだけにあるんじゃない。トレーナーがいい指導をするために。患者が早く回復するために。僕が作ったダッシュボードの向こう側には、膝が痛い誰かがいる。
人事のときもそうだった。研修プログラムの向こう側には、成長したい誰かがいた。評価制度の向こう側には、正当に評価されたい誰かがいた。
プロダクトを作ることは、人を支援することだ。
その思いが、午前3時までキーボードを叩き続ける原動力になっている。