朝、目が覚めて最初にやったことは、スマホでXを開くことだった。
通知が来ていた。いいね。3つ。リポスト。1つ。
投稿を見る。僕のブログの記事が、朝7時にシェアされている。サムネイル付き。ハッシュタグ付き。文面もちゃんとしている。
でも、僕はこの投稿をしていない。
寝ていた。確実に寝ていた。目覚ましは7時半にセットしていて、いま7時40分だ。
sns-post.yml — Run #47 Trigger: schedule (cron: ‘0 22 * * *’ UTC = 07:00 JST) Status: ✓ Success Duration: 12s Output: Posted to X — “【新着記事】AIと一緒にブログを作った話…”
GitHub Actions。cronジョブ。
この2つの概念を知ったのは3週間前だ。「定期的に自動で何かを実行する仕組み」。それだけの説明で、僕の中で何かが弾けた。
人事時代、毎月1日に給与データの確認メールを送る作業があった。毎週月曜に勤怠の集計レポートを作る作業があった。毎日朝一で採用状況をSlackに投稿する作業があった。全部手動だった。全部、忘れるリスクがあった。
それが、自動化できる。
状態管理。スケジューリング。冪等性。新しい言葉が次々と入ってくる。でも概念自体は、人事の仕事で既に知っていたものだった。「このタスクは完了済みか未完了か」を管理するのは、どんな仕事でも同じだ。
最初のバージョンはシンプルだった。1日2回、未投稿の記事を1つ選んでXに投稿する。それだけ。
でもすぐに欲が出た。
AIがブログを書き、AIが投稿文を生成し、cronが自動で投稿する。僕は寝ている。
これがプログラミングの力か、と思った。
Post pattern A: “【新着】AIとコーディングの日々を綴っています…” Post pattern B: “人事がコードを書き始めたら、こうなった…” Post pattern C: “39歳、プログラミング未経験からの挑戦記録…” Selected: Pattern B Engagement after 24h: 12 likes, 3 reposts, 287 impressions
数字が見えるようになった。どのパターンの文面が反応がいいか。何時に投稿するとインプレッションが伸びるか。データが溜まるほど、最適化の余地が見えてくる。
人事でKPIを追いかけていた頃の感覚が蘇る。離職率、採用リードタイム、エンゲージメントスコア。数字を見て、仮説を立てて、施策を打って、結果を測定する。そのサイクルが、ブログのSNS運用でも回り始めた。
投稿回数を1日5回に増やした。
朝7時。8時半。昼12時。夜7時。夜9時。
5つのcronが、毎日僕の代わりに働いている。土日も。祝日も。僕が風邪で寝込んでいても。
0 22 * * * # 07:00 JST — 朝の投稿 30 23 * * * # 08:30 JST — 通勤時間帯 0 3 * * * # 12:00 JST — 昼休み 0 10 * * * # 19:00 JST — 帰宅時間帯 0 12 * * * # 21:00 JST — 夜のリラックスタイム
自動化の本当のすごさは、「自分がやらなくていい」ことじゃない。「自分が忘れてもいい」ことだ。
人事時代、月曜朝の勤怠レポートを忘れて上司に怒られたことが何度もある。水曜の中間報告を忘れて評価に響いたこともある。人間は忘れる生き物だ。でもcronは忘れない。
朝7時、僕のブログが自動で世界に発信される。僕は布団の中で、その通知を見て微笑む。
これが自動化か。もう戻れない。